【高配当株とは】利回り3%の目安と減配しにくい株の選び方
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「配当金だけで、毎月の生活費の一部がまかなえたらいいのに」
そう思って高配当株を調べ始め、証券会社の配当利回りランキングを開いてみたものの、どれを選べばいいのかわからない。利回り5%、6%と並ぶ数字を見ても、高いほうが得なのか、何か裏があるのか判断がつかない。そんなところで手が止まっていませんか?
利回りの高さだけで選ぶと、こんなことが起きます。たとえば、利回り5%の株を買ったとします。ところが翌年、会社の業績が落ちて配当は半分に。株価も買ったときより下がってしまいました。あとから調べてみると、利回りが高く見えていたのは、配当が多かったからではなく、株価が下がっていたからでした。
逆に、「配当を減らしにくい会社」を見分けられれば、話は変わります。配当は毎年少しずつ増え、受け取る金額も育っていきます。実際に日本には、35年以上も配当を増やし続けている会社があります。利回りの数字より先に「この配当は続くのか」を見る。それだけで、選び方はぐっと楽になります。
- 高配当株の目安と、配当金がもらえる仕組み
- 利回りだけで選ぶと失敗する理由
- 配当が減りにくい株の見分け方3つ
さあ、一緒に学んでいきましょう。
高配当株は、配当利回り3%が目安
高配当株とは、株価に対して受け取れる配当金の割合が高い株のことです。この割合を「配当利回り」といいます。
配当利回り(%)= 1株あたりの年間配当金 ÷ 株価 × 100
たとえば、株価2,000円で、1年間の配当が1株60円の会社なら、60円 ÷ 2,000円 × 100 = 3%です。100株買うと20万円で、1年に6,000円(税引き前)の配当を受け取れる計算になります。
では、何%からが「高配当」なのでしょうか。実は、法律などで決まった定義はありません。目安になるのは、市場全体の平均です。
東証プライム市場の平均配当利回りは、2026年8月で2.17%でした(日本取引所グループ調べ・単純平均)。時価総額の大きい会社ほど重く数える「加重平均」では1.91%です。どちらで見ても、平均はおよそ2%です。
平均がおよそ2%なので、3%を超えるとはっきり平均より高い水準になります。そのため、配当利回り3%以上を「高配当株」と呼ぶことが多いのです。

■配当をもらうには、権利付最終日に株を持っていること
配当は、多くの会社で年1回か2回です。決算の区切りの日(権利確定日)に、株主として名簿に載っている人が受け取れます。
ただし、株を買ってから株主として名簿に載るまでには2営業日かかります。そのため実際には、権利確定日の2営業日前にあたる「権利付最終日(けんりつきさいしゅうび)」までに買って、その日の取引が終わる時点で持っている必要があります。翌日に売っても、その回の配当は受け取れます。
配当が振り込まれるのは、権利確定日からおよそ2〜3か月後が目安です。3月末が権利確定日の会社なら、6月ごろが一般的です。
なお、日本の株は原則100株単位で売買します。株価2,000円の株なら、最低でも20万円が必要です。証券会社によっては、1株から買えるサービス(単元未満株)もあり、1株でも持っている株数に応じて配当を受け取れます。
配当金は、株を売らずに入ってくるお金
株で得られる利益は、大きく2種類あります。
- 値上がり益:買ったときより高く売れたときの差額。株を売らないと手に入らない
- 配当金:会社が利益の一部を株主に分けるお金。株を持ったまま受け取れる
値上がり益で生活費をまかなうには、株を売る必要があります。売れば、そのぶん持っている株は減っていきます。
一方、配当金は株を手放さずに入ってきます。持ち続けている限り、毎年受け取れる可能性がある。取り崩さなくてもお金が入ってくる。これが「配当金で暮らす」という考え方の土台です。
ただし、配当金は「おまけ」ではありません。会社は、配当を払ったぶんだけ手元のお金が減ります。そのため、権利付最終日の翌営業日(権利落ち日)には、株価が配当のぶんくらい下がりやすい傾向があります。
つまり配当金は、会社の価値の一部を現金で受け取っているともいえます。だからこそ大事なのは、一時的に多い配当ではなく、会社が稼ぎ続け、配当を払い続けられるかどうかです。
利回りが高いのは、株価が下がったサインのこともある
配当利回りの式を、もう一度見てください。割る数(分母)は株価です。つまり、配当が同じでも株価が下がれば、利回りは上がります。
数字で確かめてみます。株価2,000円・年間配当60円の会社があるとします。利回りは3%です。ここで業績が悪くなり、株価が1,200円まで下がりました。配当はまだ60円のままなので、60 ÷ 1,200 × 100 = 5%。この時点で、利回りランキングの上位に顔を出します。
「5%もある」と思って100株(12万円)買ったとします。ところが翌年、会社は配当を30円に減らしました(減配)。受け取る配当は年6,000円のはずが3,000円に。株価も900円まで下がり、持っている株の価値は9万円です。配当を3,000円受け取っても、株価で3万円を失った計算になります。

利回りが高いのは、配当が多いからか、株価が下がったからか。数字だけでは見分けがつきません
■業績しだいで、配当そのものが大きく動く会社もあります
株価ではなく、配当そのものが大きく上下する会社もあります。その年の儲けに合わせて配当を決める「業績連動型」の会社です。
実例として、住友金属鉱山の1株あたりの年間配当を見てみます。
- 2021年3月期:121円
- 2022年3月期:301円
- 2023年3月期:205円
- 2024年3月期:98円
- 2025年3月期:104円
- 2026年3月期:228円
2022年3月期には301円まで増えましたが、2年後の2024年3月期には98円と、3分の1以下になっています。301円の年の配当をもとに利回りを計算して買っていたら、2年後の配当はその3分の1以下になっていた、ということです。

これは、会社が悪いという話ではありません。資源や素材の会社は、儲けが金属などの価格に左右されやすく、配当もそれに合わせて動く仕組みになっています。なお同社は、業績が悪い年でも配当が減りすぎないように、2024年3月期から配当の下限の目安を設け、その後その水準を引き上げています。大切なのは、その会社の配当がどんな仕組みで決まっているのかを、買う前に知っておくことです。
選ぶときに見るのは、減配しにくい仕組み
では、配当が続きそうな会社は、どう見分ければいいのでしょうか。見るのは、利回りの高さよりも「配当を減らしにくい仕組み」があるかどうかです。ポイントは3つあります。
■見分け方1:連続増配(何年も続けて配当を増やしているか)
毎年、前の年より配当を増やしている会社があります。これを「連続増配」といいます。
- KDDI:2026年3月期まで24期連続で増配。2027年3月期も増配を予想
- 花王:2025年12月期まで36期連続で増配
何十年も増配を続けてきた会社は、景気が悪い年にも配当を増やしてきた実績があります。株主への配当を、それだけ大切にしてきた会社だといえます。
ただし、これはあくまで過去の実績です。連続の記録は、業績しだいで途切れることもあります。
■見分け方2:累進配当(「減らさない」と宣言しているか)
累進配当(るいしんはいとう)とは、「配当を減らさず、維持するか増やす」という会社の方針です。
- 三菱商事:2025年度から始まった経営計画「経営戦略2027」でも、累進配当の方針を継続
- 三井物産:中期経営計画(ちゅうきけいえいけいかく)2029の期間(2027年3月期〜2029年3月期)も、累進配当を継続する予定
連続増配が「過去の実績」なら、累進配当は「これからの宣言」です。会社が自ら公表しているので、配当を減らしにくくなる効果があります。
注意したいのは、累進配当は経営計画の期間ごとに決められる方針だという点です。計画が変われば、見直される可能性もあります。「いつまでの方針なのか」を確認しておくと安心です。
■見分け方3:配当性向(儲けのうち、どれだけを配当に回しているか)
配当性向(はいとうせいこう)は、会社がその年の儲け(純利益)のうち、何%を配当に回したかを表す数字です。
配当性向(%)= 1株あたりの配当金 ÷ 1株あたりの純利益 × 100
1株あたり100円儲けて、40円を配当に回せば、配当性向は40%です。残りの60円は、会社の成長や、いざというときの備えに使えます。
反対に、配当性向が100%に近い、または超えている会社は、儲けのほぼすべて、あるいは儲け以上を配当に回している状態です。利益が少し減っただけで、配当を減らさざるをえなくなります。利回りが高い会社ほど、この数字を確認してください。
会社によっては、配当性向の目安を方針として公表しています。たとえばKDDIは「連結配当性向40%超を維持」としています。

3つをまとめると、連続増配は「過去」、累進配当は「宣言」、配当性向は「余力」を見る物差しです。私自身も、利回りの高さより、連続増配や累進配当を掲げている会社かどうかを重視しています。
ここで紹介した3つは、会社が公表している方針や実績から、配当の続きやすさを見る方法です。私はそれに加えて、無料のサイト「IR BANK」でグラフを見て、会社の財務が安定しているかも確かめています。決算書を読まずに1社ずつ見分ける手順は、有料記事にまとめました。
▶ 高配当株の選び方。初心者でも1社5分で見分ける手順(note・有料)
業種を分けると、配当金が安定しやすくなる
配当を減らしにくい会社を選んでも、もうひとつ気をつけたいことがあります。同じ業種に偏らないことです。
同じ業種の会社は、同じ理由でいっせいに業績が落ちやすいからです。たとえば資源の価格が下がれば、資源に関わる会社はそろって利益が減ります。受け取る配当がその業種に集中していると、配当金もまとめて減ってしまいます。
業種は、景気の影響の受けやすさで大きく2つに分けて考えるとわかりやすくなります。
- 景気で振れやすい業種:商社、資源、鉄鋼、海運、自動車など
- 景気で振れにくい業種:通信、医薬品、食品、日用品など
銀行や保険などの金融は、景気に加えて金利の動きにも影響を受けます。商社・通信・保険のように性格の違う業種を組み合わせておけば、どこかの業種が不調な年も、ほかの業種の配当が支えてくれます。
私は、受け取る配当金を「景気で振れやすい業種」と「振れにくい業種」で、おおむね半分ずつに分けることを目安にしています。銘柄の数だけではなく、受け取る配当金の金額でも分けるのがポイントです。1社から入ってくる配当が大きいほど、その会社が減配したときの影響も大きくなるからです。
配当金にも約20%の税金がかかる
配当金は、そのまま全額を受け取れるわけではありません。
上場株式の配当には、20.315%の税金がかかります。内訳は、所得税15%と復興特別所得税(ふっこうとくべつしょとくぜい)0.315%、住民税5%です。配当が振り込まれる時点で差し引かれ、確定申告をしなくても納税が終わる仕組みになっています。
先ほどの例(年6,000円の配当)で計算すると、約1,200円が差し引かれ、手元に残るのは約4,800円です。
■NISAの成長投資枠なら、配当の税金はゼロ
NISAの成長投資枠で買った株なら、配当金に税金がかかりません。先ほどの例なら、約1,200円の税金がかからず、6,000円をまるごと受け取れます。成長投資枠は、年間240万円まで投資できます。
ひとつだけ注意があります。国内株の配当を非課税で受け取るには、配当の受け取り方を「株式数比例配分方式(かぶしきすうひれいはいぶんほうしき)」にしておく必要があります。配当を証券口座で受け取る方式です。銀行口座への振り込みや、郵便局などで受け取る方式を選んでいると、NISAで買った株でも税金がかかります。証券会社のマイページで、一度確認しておくと安心です。

よくある質問
高配当株は、何株から買えますか?
原則は100株単位です。株価2,000円なら、最低20万円が必要です。証券会社によっては単元未満株のサービスで1株から買え、1株でも持っている株数に応じて配当を受け取れます。
配当金は、いつもらえますか?
多くの会社で年1回か2回です。権利付最終日までに買って持っていれば、権利確定日からおよそ2〜3か月後に受け取れます。
高配当株は、NISAで買えますか?
買えます。成長投資枠(年間240万円)で買えば、配当にかかる約20%の税金がゼロになります。配当の受け取り方を「株式数比例配分方式」にしておくことを忘れないでください。
インデックス投資と高配当株は、何が違いますか?
インデックス投資は、手間をかけずに市場全体に分散して資産を増やすのに向いています。高配当株は、配当金として定期的にお金を受け取るのに向いています。まず自分がお金を「増やしたい」のか「受け取りたい」のかを決めると、配分を考えやすくなります。
高配当ETFではだめですか?
だめではありません。高配当ETFは、1本で多くの高配当株にまとめて投資できる商品で、1社が減配したときの影響を小さくできます。そのかわり運用コスト(信託報酬)がかかり、中に入る銘柄は自分では選べません。会社を1社ずつ選ぶ手間をかけたくない人には、選択肢のひとつです。
まとめ
今回のポイントを振り返りましょう。
- 高配当株の目安は配当利回り3%。東証プライムの平均(およそ2%)よりは高い水準
- 配当金は、株を売らずに入ってくるお金。権利付最終日に持っていれば受け取れる
- 利回りが高いのは、株価が下がったサインのこともある。数字の高さより「その配当が続くか」を見る
- 減配しにくさは、連続増配(過去)・累進配当(宣言)・配当性向(余力)の3つで確かめる
- 業種を分けると配当金が安定しやすくなる。配当には約20%の税金がかかるが、NISAの成長投資枠ならゼロ
利回りの数字は、証券会社のランキングを見ればすぐにわかります。でも、その配当が来年も続くかどうかは、自分で確かめるしかありません。
「高いから買う」ではなく「続くから買う」。この順番を知っているだけで、選び方の失敗はぐっと減らせます。
最後に
高配当株をNISAで持つなら、まずは制度の基本から。投資についてもう少し勉強したい方は、この2本から読んでみてください。
【2026年最新】新NISAを1から解説|初心者がまず始めること1つだけひろマネー|投資・保険・税金をやさしく解説
オルカンとS&P500、結局どっち?──「枕を高くして眠れるほう」を私は選んだひろマネー|投資・保険・税金をやさしく解説
・ランキングで見つけた会社が、配当を払い続けられそうかどうか。私が実際に使っている見分け方の手順は、こちらの有料記事にまとめています
▶ 高配当株の選び方。初心者でも1社5分で見分ける手順(note・有料)
ほなまた!
【出典】
・日本取引所グループ「株価平均・株式平均利回り」(株式平均利回り 2026年8月)
・日本取引所グループ「売買単位の統一」
・KDDI「配当情報」
・花王「株主還元方針」
・三菱商事「株主還元情報」
・三井物産「2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)」
・住友金属鉱山「株主還元・配当情報」
・住友金属鉱山「配当に関する方針の変更及び配当予想の修正に関するお知らせ」(2025年5月9日)
・国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」
・金融庁「NISAを知る」
・日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
